"くすりや"まめ太の処方箋

地方の病院で"くすりや"やってます

アンサングシンデレラ【第4話】

世間は盆休みモードに入りつつありますね。まめ太もコロナ感染者が日本全国で増えすぎてもはやGo Toする気がおきず、ご先祖様を熱心にお迎えするしかないスーパー盆休みモードです。

では、アンサングシンデレラ第4話レポお付き合い下さい!

 

今回は、

・末期がんのジーチャン

ジーチャン見てたら自分も病んできて摂食障害になった孫(娘娘亭の娘)

・医学部崩れの末路

でしたね。あまり薬学的に説明する内容がなかったような‥(というか薬学的な内容をサラッと流されてた‥)気がします。

 

・末期がんのジーチャン見てたら自分も病んできて摂食障害になった孫ですが‥うーん、この展開なんかよくわからないです‥いや、摂食障害ってどちらかというと過剰な痩せ願望とかが引き金になるような‥まぁ、いいです。きっとベッドサイドで寄り添ってる感を出したい演出だったんでしょう。ただ、あれはぶっちゃけ看護師にしか見えなかった。。

 

・末期がんのジーチャンの話は次回に続きそうで今回はあまり触れられていなかったので詳細は来週に置いときます。

 

で、気になった場面。桜井さん演じる刈谷主任がケモをミキシング(抗がん剤を点滴に混ぜる)していたシーン。救命センターで薬の調製するのばかりやらずにここをもうちょっとやれよ。救命センターで薬剤師が薬の調製している病院はほぼないでしょうが、ケモのミキシングは現在は大部分の病院が薬剤師が調製してそうですけどね(知人医師が10年前に都市部のT洲会で研修してた頃は研修医が当番で調製してたそうですが、そこも今は薬剤師がやってるみたいです)。

安全キャビネットを使う薬剤師のイラスト

なぜ薬剤師がケモを調製するようになったか、これはあくまでまめ太の考えですが、

・薬剤師がケモを調製すると加算が取れるようになった。(ようするにカネ)

・ケモの薬の種類が増え、さらに分子標的薬や免疫チェクポイント阻害薬(例えばハーセプチンオプジーボ)などとんでも高額薬が登場した。これらはモノによっては調製方法が指定されていて手技が複雑な上、下手に混ぜると効能に影響が生じかねない。そして、高額だから失敗されたくないから薬剤師が一元管理するほうが効率が良さそう。特に分子標的薬はとんでもなくお高いので「失敗しました~テヘペロ」なんて言えば‥/(^o^)\また、非常に泡立ちやすい薬剤でもあり、さらに「◯ml注入ならトータル量をどれだけにせよ」などややこしいです。

抗がん剤の調製時のばく露が問題。安全対策として、安全キャビネットや、部屋自体を陰圧にする、ガウンや手袋など防護服を着る必要がある。

昔は看護師さんが病棟の詰所の台の上でなんの装備もないまま調製していたそうです。今時そんなことしたら安全上とんでもないですね。また、看護師さんは普段点滴を調製するとき、バイアルを陽圧にされることが多いです(バイアルにシリンジを押す)。これは反動でシリンジ内に薬液が入って来やすくなるのでスピード勝負の看護師さんにはいいかもしれませんが、ケモでこれをやると圧がかかる→針を抜いたときに薬液が噴射してばく露の危険があります。なので必ずケモは陰圧作業です。

こういったことがあるので薬剤師で一元管理してやってみるほうが効率がいいからかもしれないですね。しらんけど。。

 

このドラマはやたら救命センターに薬剤師を登場させるのが好きですが(演出に必要なんでしょう)、実際はケモ(化学療法/抗がん剤)の現場のほうが薬剤師が活躍しています。

 

・医学部崩れのハクの話。「パパが医者で~」は以前の記事で書いたので貼っときます(よろしければ読んで下さいね)。

 

kusuriya-mameta.hatenablog.com

 

自分の体感としては「お金はあるけど頭足りなくて医学部行けなかった男」は薬学部ではなく歯学部に行くのが多かった気がしますね(女子学生は薬学部に行くパターンも多かったですが)。(医学部崩れで)薬学部に行くのはお金もなくて頭も足りないパターンだった気がします。まぁ、ハクの場合は本人が薬剤師として働くのに満足してるっぽいのでもう個人の自由でいいんじゃね?って感じですけどね。


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たしかに私が高校生の頃は「粉骨砕身で働くのがカッコいい」時代だったので「とにかく人を救いたいです!!」というアツい感じで医学部にこだわっている人は多かった。でも、大学を出る頃になったら「ゆるふわ」「医業+不労所得イエーイ」という時代に変わっていました。どうなんですかね、これからは。


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そして???と思った場面、「アジスロマイシンの用量」。ハクは疑義照会してますよね??疑義照会してたら記録もちゃんと残ってるはずです。以前、最近の医者と薬剤師の関係性に思うことと、疑義照会の重要性について書きました。貼っときます。

 

kusuriya-mameta.hatenablog.com

 

疑義照会してたとすれば、なぜ患者に謝りに行き、しかも医者が「もっとしっかりしてくれよ」と言うのは「は???」としか言えないですね。法的に何も問題ないです。そんなん言ったら、「みんな辞める言うならやっぱりボーナス少しは出そうかな」で話題になってる某病院のプロポフォール事件、ラミクタール事件とかどうなるんですかね。


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あと、ハクパパの認知症疑いがポリファーマシーでしたのオチですが、仕事のデスクに無造作に大量の薬が入っていましたがあれはどうやって入手したんですかね。あれほどの規模の病院なら個人開業医の院内処方‥という感じもしないので入手経路が謎ですな。最近、勝手に薬を私用で持ち出すと停職になってましたよね(これは事務職員ですが)、皇室御用達病院が…


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というわけで今回はあまり薬剤師として解説に至らない内容でしたね。

 

そして、もうハッキリ言ってしまいますがこのドラマ、なんか色々ダメですね、、、いや、ドキュメンタリーじゃないのでエンタメとして見ればいいんですけど、せっかくの原作の良さが全て台無しにされてる感が、、、

 

ちなみに今シーズン放送されている「もう一つのお薬ドラマ」のほうが私は気に入ってます。主人公がMRさんの「私の家政夫ナギサさん」です。家事を外注するという新しい価値観が結構気に入りました笑(^^)

 

 ひたすら毒を吐いただけwwwのレポになってしまいすみません。

今年は7月がほぼ雨続きで豪雨で被災された地域もあり、あまり夏らしくない7月でした。8月に入り暑さが厳しいと感じたもののもう立秋を迎え、ヒグラシの鳴き声を聞くとどこかもう夏も終わりだなと感じ、コロナで騒いでいるうちに一気に季節が過ぎてしまいましたね。残暑も厳しい、コロナも増えすぎの今日この頃ですが、どうぞ皆さまも安全なスーパー盆休みモードの3連休をお過ごしください。

 

今日も読んでいただきありがとうございます。またのご訪問お待ちしています!

 

追記;アジスロマイシンの疑義照会はハクは記録取ってなかった!?すみません、記録が当たり前なので思い込んでました‥記録なしならアウトです(^_^;)