"くすりや"まめ太の処方箋

地方の病院で"くすりや"やってます

地下鉄サリン事件から26年

地下鉄サリン事件から26年になります(昨日だけど)。自分は既に生まれてはいましたが記憶にはあまりありません。大大大好きなアニメ、セーラームーンが事件の報道の影響でしばしの間放送中止になり、チェッと子どもゴコロに思っていたような覚えはありますが‥

 

いわゆる化学兵器テロってやつです。とりあえず一番最初に「何かわからんけどやばいぞ!」で治療に当たった人達、凄いです。揮発性なので二次被害もあったそうですが‥何かわからないモノに対する治療って大変ですよ。PAM(有機リン中毒に使う解毒剤)を投与する決断を最初にした人、よくわかったよなと思います(どこかの救急医でしょうが‥)。



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ちなみにPAMは沼の底病院にも常に置いてあります。というのも田舎ゆえ、「農薬を間違えて飲んじまったよぉー!」という人がたまーに来るからです(もちろん自殺未遂??というのもありますが)。

 

化学兵器テロはオウム真理教事件以降は大規模なものは起こっていませんが、それでも和歌山ヒ素カレー事件(※ただしこれに関しては法医学の世界や冤罪説など複数の意見があるのでここでは触れません)、個人レベルで見ると目薬にガソリンやら、ガス発生中‥などは起こっています。そういえば数年前に名古屋大学の女子大生がタリウム飲ませて‥なんてのもありましたね。大規模テロだって明日起こる可能性も十分にあります。今は科学技術が発達しましたが、それでも最初に気づくこと、そして「なんだかわからないモノ」に対して対応を考えることは非常に難しいです。

 

はっきり言うと、理系の大学出てるなら科学知識を使ったテロなんてふっつーにできます。爆弾くらい工学部の人間なら作れるし、そもそも薬学部の人間ならコナンくんの世界でなくともどうすりゃ薬でヤレるかなんてわかってますよ。一時期流行った「アリエナイ理科ノ教科書」なんてありましたよね。ちなみに自分はなぜか大学入学前に購入しましたがw

 

 

臨床の現場にいるとつい、「適応が~ガイドライン的には~」そして「薬の数とモノが間違ってないか」ばかり考えてしまいます。本当は「"化学"に関しては病院の中で最も詳しいハズ」なんですがね。アンサングやらなんやら言われてますが、看護師さんは患者さんのよりよいお世話をするのが仕事で、医者は化学なんて大学1年生のパンキョーでしか習わない。つか国試でカメノコウが登場なんてしない。薬剤師国家試験ではカメノコウが大いに登場して、それがまぁまぁ難しかったりする(有機化学の理論はガチで解くと京大の入試レヴェルあると薬ゼミ講師が言ってた)のでそこそこに点数を取ってあとは薬理で稼ぐ作戦に出たりしていますが‥

 

本来は薬剤関係の最高資格であるはずの薬剤師なのにドラッグストアのレジ打ちしかできないレベルがゴロゴロいたり、病院でも「化学に精通する唯一の国家資格保持者」であるはずなのに上記に述べたようなことばかり毎日繰り返していてヘーコラしているのはなんとなく虚しい現実です。

マニュアルでは対応できない未体験なこと、例えば化学テロなどが起こったとき、また普段の業務でも相互作用なども「化学の知識を生かすこと」が他の医療職との最大の差であるはずの薬剤師が残念ながら化学があまりデキない、そして自分も(※基礎研究の世界に片足を今も突っ込んでいるもののなまもの系)おそらくあまり対応できそうにないなと思うたびに、近年流行りのコミュニケーションやら薬物治療やらの臨床教育も大事だけど基礎の学問、有機化学ももう少し重点を置いて教育することも実は大事なのではと思うのでした。

 

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