"くすりや"まめ太の処方箋

地方の病院で"くすりや"やってます

【勝手に】アンサングシンデレラ×アンナチュラル企画

アンサングシンデレラで石原さとみさんが主演をされるに当たり、「アンナチュラルがはまり役だった、アンナチュラルの再放送やってくれよ」という声もあるそうですが、まあ、放送局が異なるので無理でしょう。ということでここはまめ太が【勝手に】アンサングシンデレラ×アンナチュラルのコラボ企画を開催したいと思います!ヽ(^o^)丿イエーイ

 

アンナチュラルの第一話「名前のない毒」。これはなんだかわからない死因が実はMERSコロナウイルスだったという話なのですが、「こ…これは新型コロナを予言していた!」などとネット上では言われていますが、さすがにこれはこじつけでしょう(ノストラダムスの大予言は実は9.11を予言していたかもと言うアレと一緒な気がする)。

ノストラダムスは薬剤師説、医者説いろいろあるそうなのでとりあえずペスト医師貼っときます

 

で、本題。「誰も知らない未知の毒なら特定できない…」とドラマ第1話で話されていますが(ドラマ見てない人、わからんくてごめんなさい)要するに「毒を特定するのは難しい」ということです。

「え?毒盛ったらすぐばれちゃうよね?」と思った人、薬物中毒をすぐに見分けられるのは名探偵コナン君だけです\(^o^)/(「これは青酸カリだな」とか事件現場で言ってるよね)薬物中毒はなかなか見抜けません!

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というのも原因不明の死をとげた場合、「司法解剖する」と思われがちですが、実は日本の解剖率はかなり低いから。異常死した場合、まず警察が事件性の有無を判断し(警察医の先生に頼む。このへんの解説は省略します)、事件性があるとみなせば解剖にまわされます。そして解剖になった場合、トライエージなどの簡易キット(わからなかったらググってね)で検査する場合もありますが(ということはしないこともある)、ごく限られた種類しかわかりません!それも青酸とか向精神薬関連とか。あとはどうしてるかというと、解剖を担当する法医学教室によります。高性能の分析機器を所有している教室は全例スクリーニングをかけているところもあるようですが、ほとんどはそんなんしてない。あとは解剖医の判断で怪しそうだったら外注で検査に出して判明というところです。

「え?それじゃ本当は薬物中毒でもすり抜ける事例もあるんじゃない?」ええ、すり抜けまくりでしょうね、きっと。知らないだけで。だから青酸連続殺人(2013年くらいに関西地方であったやつ)とか起こってるんでしょう。あれも事故、病死で片づけられて、最後の事例で解剖に回され判明したのでしょう。なんでそんなに解剖しないのだ?と思われるでしょうが、警察の予算の関係で年間の解剖数に限りがあるから。検査もやればやるほど費用がかかるから。また、法医学教室でもっと検査しないの?と思われるかもしれませんが法医学教室は大学の研究機関であり解剖機関ではありません。解剖の数を増やそうが、そんなことより研究業績、論文を1本でも多く出さなければ評価されません。また、分析機器などの設備は教室によってかなり差があります。さらにそもそも解剖医ってほとんどいません。1県に1大学しか医学部のない都道府県では解剖医が1人とかよくあります(以前の記事で、医学部であっても教授以外医者じゃないことが多いと書きました。良ければ読んでください)。そして何より1人で判断しているのでやり方やレベルにもばらつきがあります。

 

科捜研は何してるの?と思われるかもしれませんが、科捜研は警察の機関であり、警察から依頼された鑑定を決められたプロトコル通りに鑑定する機関です(例えば白骨化の身元不明遺体の爪でDNA鑑定とか)。自ら外に飛び出していろんな検査しているのは京都府警科捜研のマリコさんだけです…

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さて、先ほどの青酸カリでもすり抜けるくらい…となると医薬品ならどうなんだ?となりますね。風邪薬殺人事件とかも実際にあったみたいですよ(ググってね)。これはアセトアミノフェンの大量投与及び飲酒の相乗作用で肝臓がヤラれたわけです。ちなみにこのアセトアミノフェン、「新型コロナのときの解熱薬はアセトアミノエンだ」とフランス政府が言ったせいかドラッグストアから一時期カロナール(商品名)が消えたとかニュースになってましたが、みんな大丈夫なのですかね。。さらに処方薬なら降圧薬に糖尿病薬、睡眠剤抗がん剤…どれもやばそうなものがいっぱいですね。例えば糖尿病薬なら低血糖を起こせます。低血糖は生命の危機に陥るレベルの危険な状態です。身の回りの医薬品、みんな悪用していないのかしら…闇に葬られていそうな事件がいっぱいありそうな気がします…

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そしてそんな「危ないもの」に毎日囲まれて、人にそんなものを売りつけるまめ太、おそろしやーと思いつつ、明日もそんな生業に勤しもうとするまめ太なのでした。

 

※あくまで病院薬剤師であり、死因究明のspecialistではありませんので、誤り等がございましたらコメント欄で教えて下さい(コメントは私が承認するまで表示されません)

 

 

今日も読んでいただきありがとうございます。またのご訪問お待ちしています!