"くすりや"まめ太の処方箋

地方の病院で"くすりや"やってます

死者のカルテ

お盆も近いのでこんな話でも‥

 

(詳細な薬品名は伏せます)特別に管理する必要のある薬があり、調剤の度に製薬企業の流通システムにアクセスしたり、時々きちんと管理できているか確認しなければいけません。その患者さん達の書類やデータを薬剤部で独自に患者ファイルを作って管理しています。そのファイルがそろそろ溢れてきたので患者データを整理するため、ここ最近、仕事の合間に片っ端から対象患者さんのカルテチェックをしています。そうするとやはり、中には亡くなられている方もいらっしゃいます。

 

薬剤師は基本的に亡くなられた方に直接関わることがありません(ただし、調剤薬局で在宅業務をされている方はこの限りではないかもしれませんが)。医師や看護師のようにお別れのお見送りをすることもないですし、学生の頃実習していた薬局では「しばらく来ないな~と思っていたら風の噂で亡くなった話を聞いたり」と言っていましたね。

 

普段開くことがほぼない亡くなった方のカルテを開くと、亡くなる直前の様子が看護記録に鮮明に書かれ、死亡診断をした医師の記録があり、死を受け入れられない家族の様子が書かれていました。そしてその後はただひたすらに事務処理がカルテ上でされていました。

 

「医師のように感謝されず、看護師のように親しまれない」たくさんの人の生死が交差する病院にいながら、直接死に向き合うことがほぼない。もちろん、緩和ケアチーム医療にも薬剤師は関わっていますが、あくまでそれは亡くなるまでの話。

働きだして数年経ちますが、死者のカルテを開くことにより、業務に追われ、かすんでしまっていた目の前の薬(モノ)の向こうの人の命が少し見えた気がした、お盆前のとある1日でした。

 

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