※これからシーズンに入る就活ネタです。昨年もいくつか書きました(がくせいカテゴリー諸々)。それをベースに今回は書いてますのでよければ併せてどうぞ。
(これは一例)
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最近の色々な病院薬剤師の募集を見ていたんですが、
なんか、レジデント募集多くない??
ということで今回はレジデントについて書きます。なお自分は卒業後ずっとしがない沼の底病院の雇われ者でレジデントをやっておりませんのでレジデント経験者のモルヒネ大学のおともだちから聞いた話を交えます。独断と偏見強めなのはご容赦下さい。
まずレジデントとは簡単に言うと「卒後研修のような薬剤師の研修を非常勤職員の身分で行う」ことです。ひと昔前は病院薬剤師の病院ごとの採用はあまりなく、大学病院が「研修生」を多く採っていました。これは「(無給どころか)研修費を納めて卒後研修を行う」もので、大学にもよりますが何十人も採って、研修期間(数ヶ月~1年くらい)が終了すれば何人かは大学に残ってあとは関連病院のポストがあれば割り振っていく‥というものです。ただこの研修生制度はいまはかなり下火です。そもそもこれは就職にはカウントされません(by大学の就職課)。時代的にいい大人が無給どころかお金を取られ、さらに研修生という立場だとできる業務が限られてきた‥のでしょう。東京大学は今も研修生制度をやっていますが、大阪大学はついに研修生制度を廃止し、レジデント制度に変わったみたいです。
さて、この研修生制度に代わって近年台頭してきたのが「レジデント制度」です。これは1~2年の研修期間で様々な業務を研修し、その他、抄読会や研究を非常勤職員として行うものです。
まずメリットは、
①一通りの全ての業務を勉強できる。
②あくまで勉強する人の立場なので責任がない。
③箔付け。人脈(コネクション)構築。
通常、正職員で雇われると労働力の1つと見なされるのでひたすら調剤や業務を運用するための仕事を覚えます。全ての業務を一通り‥というのは規模にもよりますがなかなか厳しいです。さらに論文がどうやら研究発表やらはあくまで業務の範囲外です。しかし、レジデントなら一通りの業務を経験し、さらに文献検討や研究めいたこともできます。そして正職員じゃないので責任がありません。「勉強する立場」なので(病院にもよりますが)当直や休日出勤はなし、残業なしだったりします。以前の緊急電話‥の記事にも書きましたが、正職員として雇われている限り組織の人間としての責任が伴いますので休みの日に電話が来ようが夜中に呼びたされようが対応せねばなりません。
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一方、あくまで非常勤職員、しかも勉強する人としての立場なので責任はありません。また、レジデント制度をやるような病院はブランド病院が多いので「○○大学で働いてました!」という箔付けや、有力者とのコネクション構築には良いでしょう。
デメリットは、
①あくまで非常勤職員。研修期間が終了したらクビになる可能性もあり。
②最近は新卒から独自に採用する病院が増えたので関連病院に‥という風潮が薄れた。
非常勤職員です。正職員ではありません。ということは「正社員が享受できる権利を持っていない」ということです。これは個別で労働条件が異なるとで一概には言えませんが、退職金はなし、福利厚生も正職員とは違う、もしかしたら保険証とかも違うかも、ボーナスは病院による?、育休も不利になるかも‥。そして、研修修了時に正職員なり非常勤なりポストがあいていないとクビです。デキが悪いと「もうキミは正職員にはできないよ」と言われて肩たたきされたりもします。(byモルヒネ大学のおともだち)
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また、今は新卒から独自に採用する病院が増えました。採用枠自体も病棟薬剤師バブルや公立病院の独法化で増えましたからね。研修修了後に就職先を紹介してもらおう‥という発想にならないかもです。
ちなみに病院側としてはレジデントを採用するほうがメリットがあると思います。
≪理由≫
①人件費抑制
②使えなければクビにできる
実は病院の支出の半分は人件費です(知ってた?)。勿論割合としては看護師さんが大半なんでしょうが、正職員で人を雇うということは多額のコストがかかります。
≪正社員にかかるコスト≫
人件費=支給額(基本給与+賞与+時間外勤務手当+当直手当+交通費手当等)+事業主負担の社会保険料等+退職給付引当金
労働者が貰うのは支給額です。たとえ支給額が正規と非常勤でそんなに変わらなくとも、そのうちの社会保険料+退職金が非常勤職員は抑えられるというカラクリです。他にも福利厚生の費用等色々ありますよね。さらに、正職員を気軽にクビになんてできませんが、レジデントなら気に入らなければ研修修了後にサヨナラを言い渡せばいいだけです。
じゃあ結局、レジデントってどうなの?
うーん‥自分自身やっていないのでわかりません。やってる内容とかわからないですし。ただ、正職員じゃないからのメリットと正職員じゃないからのデメリットがあります。まず、正職員は責任があります。文房具やらコピー用紙の発注もさせられますし、意味不明な患者のクレーム対応させられようが、まっっったく興味のない分野の仕事をさせられようが文句は言えません。だって正職員は労働力の1つなんで。すぐにでも即戦力となり休日出勤、当直に入れるようになるべく仕事を覚えさせられます。
その代わり立場はある程度確保されています。ある日突然クビになんてしようものなら労基署に言いつけてやればいいし、育休取りたいなら堂々と取ればいい。時短したけりゃすればいい。
しかし、世の中には色んなタイプの人がいます。私はどちらかというと勢いで何でもやるのが好きなタイプですので怒涛のように仕事を体で覚えるのは苦にならないです。一方、「ゆっくり仕事を覚えていきたい。いきなり日直だの当直だの言われても‥日常業務に悩殺されるのではなく着実に勉強しながら‥」というタイプの人もいます。そういう方は怒涛のように仕事を‥は合わないでしょう。また、気に入ったら腰を据えて‥なんて人もレジデントのほうが向いているかもしれません。
私の個人的な意見としては、研修生採用をしていた病院がレジデント採用に切り替えるのは良い流れだと思います。無給より非常勤でも雇用契約があるほうが望ましいです。しかし、正職員採用をしていた病院がレジデント採用に切り替えるのは正直うーん‥と思います。いやぁ‥人件費削減ですか?(上記デメリットを踏まえて)そりゃあ、お安く雇って気に入らなければサヨナラできますからねぇ‥そんなに教育に凝りたいなら今まで通り正職員採用して新人教育を頑張れば良いのでは‥?(´・ω・`)
どちらにもメリットとデメリットがあるのでよく考えてベストな選択をされることを応援しています!
今日も読んでいただきありがとうございます。またのご訪問お待ちしています!